MM用Phono EQ AQ-01を製作しました。特徴は、高耐圧OP AMP LM49860、定電圧回路にTL431によるShunt Regulator、スイッチング電源を採用し、高音質を得ることができました。 ・AQ-01開発の背景:久しくLPを聴かない時代が続きました。1970年代CDが登場する前、パッケージメディアはLPしか無い時代、どうやってスクラッチノイズを聞こえなくするか、ゆらゆら動くウーファのコーン紙、大音量にすると始まるハウリングに悩まされ、高価なピックアップ、クリーナー、外周スタビライザー、真空吸着ターンテーブルシート等の考えられるアイテムを試しましたが、解決できませんでした。1980年代に入り、CD Playerが登場し、LPで悩まされていた全てが解決されたと思いました。10年以上LPを聴かない時代が過ぎて、CDでは発売されない盤があり、針を落としました。さすがに10年以上放置してあったMM型は細い線を巻き込んであるためか全て断線していました。幸いMC型は活きていました。スクラッチノイズから始まる不満は聞こえましたが、曲が流れるとCDでは感じられない、力強さを備えているが、しっとりとして艶やかで静けさを感ずる音に驚きました。聴き慣れた箇所で聞こえるスクラッチノイズに懐かしさを思い出し許容している自分が居ました。あれほどなんとかならないかと費やした努力ですがCDでは得られない安らぎがLPから得られるとは想像もしませんでした。 そこで、電源回路をシャントレギュレータにしたらどんな音が聴こえるかと興味が湧きAQ-01に先駆け、電源トランス方式で製作を開始しました。電源回路による音質改善を確認するためなので、増幅回路はOP AMPによるエントリーレベルとしました。OP AMPの中でも音が良いと言われているNE5532を使用しました。市販されているPhono EQの利得は32~34dBと低めの設定がされています。しかし利得を高くしたほうが生き生きとしたなり方になることから36dB以上を狙いました。RIAA素子との兼ね合いで利得は38dBとなりました。Rコアのトランスと整流回路で作成したPhono EQは予想外の音質が得られました。驚いたことにスタイラスが音溝を擦っている感じがなく、スクラッチノイズが小さくかつ楽音と明らかに分離して聞こえ、さらに低域を0.2Hz以下にしたのでウーファーが揺らぐのかと思いきや危惧に終わりました。しばらくこのEQでLPを堪能しました。 |
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NE5532 Phono EQ |
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