目指す音質に近づくために不可欠な方法の一つがシャントレギュレータです。一部の方々は以前から音の良い電源回路と評価していますが、使われている例は多くありません。殆どの場合、三端子レギュレータに代表されるシリーズレギュレータが用いられます。 一般的なシリーズレギュレータは、電源入力に含まれる雑音成分を除去する高いリップルリジェクションを得ることが出来ます。シャントレギュレータはそれほど高いリップルリジェクションが得られないことと、定電圧を得るためにアイドル電流が余分に必要で、電源の利用効率が劣ります。そのため敢えてシャントレギュレータを採用する優位性はないと思われています。しかし、音質を改善する上で、シリーズレギュレータでは限界があります。 シャントレギュレータでしか得られない性能について考えてみましょう。シャントレギュレータは設定された電圧を保つよう常にアイドル電流を消費しています。負荷の電流が減った場合にはアイドル電流を増やし、負荷電流が増えた場合にはアイドル電流を減らします。負荷電流+アイドル電流=一定となります。 この特徴は、アンプで増幅により消費電流が変化し、かつ負荷抵抗に流れる信号がグランド電位を変動させる影響を低減することが出来ます。一般的なシリーズレギュレータは、電圧を一定に保つよう制御しますが、電流は制御されず、負荷や信号に追従し変化しますのでグランド電位も変化させてしまいます。この違いが聴こえ方に大きな影響を与えます。 この様子を観るために、簡単なアンプと一般的なシリーズレギュレータとシャントレギュレータの回路でシミュレーションを行います。 |
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