知り合い経由でメンテナンスと音質改善の依頼がありました。 比較的新しい機種ではありますが、発売されてから18年ほど経過しています。FM Tuner開発の最盛期の後で、手堅い構成です。 フロントエンドは、三連構成のパックの初段に外付けでRF AMPを設け実質四連構成にして性能の向上を図っています。しかし、強電界下ではRF相互変調妨害が発生するので、RF ATTと名付けられ、外付けRF AMPをパスして利得を下げる仕組みを採用しています。 IF増幅段は、Wide/Narrowの帯域を切り替え隣接妨害を防ぎます。 RF ATTとIF BandはActive Reception機能により受信状況を判断し自動的に最適化されます。 検波はLA1267 FM/AM System ICに委ねられ、一般的なクオーォードラチャー方式です。簡易なラジオ等では、性能を妥協し単同調コイルやセラミック素子が用いられますが、性能を確保できる複同調検波コイルが用いられ、LA1267の最良性能が得られる構成になっています。 LA1267から出力されたコンポジット信号はステレオ復調器LA3401に入力される前に、バーディーノイズの元になる100kHz以上の成分を取り除くベースバンドフィルターを通過させます。 コンポジット信号中の19kHz及び38kHzは、LA3401に装備されたパイロットキャンセラー機能で低減されます。 現状を確認したところ、経年による調整ズレは軽微で、わずかな範囲で再調整すると、初期の性能に戻り、健康な個体です。 感度: 12dBuV S/N: 80dB, Mono; 62dB, Stereo THD: 0.076% Mono 1kHz; 0.16% Stereo 1kHz Separation: L-R 52dB 1kHz, R-L 51dB 感度はSpecに届きませんが、測定環境などの影響によるものです。感度付近の出力波形に異常は観られません。 StereoのS/N及びTHDは19kHz及び38kHzのキャリアリークによるもので、正規の測定に用いるキャリアリークフィルターの備えがないための値です。 |
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